監査に耐えられるWACCの計算方法 1 - 概要

固定資産の減損損失を計算する際の割引率として、
WACC(加重平均資本コスト)を使用することが多いと思います。
しかし、WACCを計算するためにはとても多くの論点が存在し、 私も毎回混乱します。
そこで、今回はそれらの論点を整理しつつ、
監査に耐えられるWAACを、お金をかけず自力で計算できること
を目標として、記事を書きたいと思います。
WACCの計算式
通常、WACCは以下のとおり計算されます。
WACC | = | D | x | rD (1-tc) | + | E | x | rE | |||||
D+E | D+E |
D: 有利子負債の時価
E: 株式時価総額 (自己資本)
rD: 負債コスト
rE: 自己資本コスト
tc: 実効税率
しかし、割引率として使用するWACCは、税引前WACCです。
(割引対象となる将来キャッシュ・フローが税引前だから)
そのため、以下の計算式になります。
WACC | = | D | x | rD | + | E | x | rE | |||||
D+E | D+E |
D: 有利子負債の時価
E: 株式時価総額 (自己資本)
rD: 負債コスト
rE: 自己資本コスト
WACCの計算で重要なこと
WACCを計算するために、
それぞれの変数をどのように取るかはまちまちで、
実務においても様々な見解があります。
本によってもいろいろな書き方がされています。
客観的なデータだけでは足りず、
主観的判断もたくさん入ります。
重要なのは、いいとこ取りと思われないことであり、
一度決めた方針を継続することです。
継続していれば、監査でNGをもらうことも少ないと思います。
それぞれの計算項目を以下のように分解し、
次回以降、解説していきたいと思います。