耐用年数の検討-監査法人の見解が変わった?

IFRS導入時におけるGAAP差異の検討のうち、
耐用年数の検討に対する大手監査法人の見解が、
最近、変わったのではないかと思っています。
耐用年数は基準書にどのように書かれているか
日本基準では、法人税法上の耐用年数を採用しても、
不合理と認められる事情がない限り、
妥当なものとして取り扱うことができます。
IFRSでは、経済的実態に即した耐用年数
(資産が企業によって利用可能であると予想される期間)
により減価償却を行います。
3年前ぐらいは
- IFRSでは、日本基準で幅広く採用されている法人税法上の耐用年数をそのまま使用することはできない
- 固定資産の実際の使用状況、修繕計画または使用期間などを詳細調査し、調査結果に応じてそれぞれの資産の耐用年数を決定しないといけない
私の記憶の限りでは、
以前の監査法人の見解は
このようなものでした。
この詳細調査が、とても時間のかかる作業で、
いつまでもIFRS導入が進まない原因の1つ
だったと思います。
それに対して今は
日本基準とIFRSで耐用年数に差異があるのは、
おかしいという見解になっているようです。
日本基準では、法人税法上の耐用年数を認める
記述がありますが、IFRSにはそれがありません。
しかし、経済的実体に即した耐用年数を使用する
という原理原則は、IFRSと変わるものではありません。
耐用年数について、本来、GAAP差異はないので、
耐用年数の検討の結果、IFRSだけ異なる耐用年数を
採用すると、以下の不都合があります。
今までの日本基準の耐用年数は間違っていたのではないか?
↓
今までの決算数値は間違っていた。。
↓
今までの監査は間違っていた。。。
これが変わった原因かなと予想しています。
IFRS導入し易くなったのでは
いずれにせよ、法人税法上の耐用年数が
すんなり認められるのであれば、
IFRSが非常に導入しやすくなったと思います。
IFRSベースのBS、PLまでであれば、
あまり時間をかけずに出来てしまう
のではないでしょうか。
(アカウンティングマニュアルや
作業マニュアルに変に凝らなければ。)
今では、開示の検討が一番たいへんな気がします。
開示を勉強する際には、
こちらの本がおすすめです。