注記を意識した勘定科目設定の3つのポイント

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決算効率化の仕組みづくりをする上で、
勘定科目の設定は最重要項目の1つと考えています。  

勘定科目の設定は細かすぎると、

  • 見づらい
  • どの科目を選べばいいかわからない
  • 科目選択ミスが増える

といった問題があります。  

一方で、粗すぎると、
内部管理や注記に必要な情報がわかりにくい
という問題があります。  

注記を意識した過不足のない科目設定ができればベストです。  

連結ベースの固定資産増減明細表

今回は、IFRSで要求される 連結ベースの固定資産増減明細表を例として、
勘定科目設定の重要性を解説します。  

あらゆるIFRS注記の中でも、
最も工数のかかる注記の1つです。  

現在の日本基準では、連結ベースでの増減明細表は求められていませんが、
しかし、連結キャッシュ・フロー計算書を作成する上で、
増減明細があれば便利なのは間違いがありません。  

また、今後要求される可能性もおおいに考えられます。  

考えられる2つの作成方法

固定資産台帳の外で、

  • IFRSのGAAP調整仕訳を入れている
  • 連結調整仕訳を入れている

といった場合、
一般的な固定資産管理システムから自動作成される増減明細では、
必要な注記を作成するには情報が不足します。  

親会社、子会社各社の固定資産台帳を単純合算し、
内部取引や未実現利益消去といった連結調整仕訳を加味して、
増減明細を作成することもできます。(積み上げ方式)

しかし、非常に時間がかかります。  
私はこの方法で注記を作成しようとして大失敗したことがあります。  

固定資産台帳の積み上げで注記を作成しても、
連結精算表との突合がうまくいかなかったのです。  

そのため、
連結精算表(試算表)の数字から直接、増減明細表を作成できるようにすること
がベストだと考えています。(欲しい結果から逆算する)

そこで、必要な数字が得られることを意識した科目設定を行います。  

勘定科目設定の3つのポイント

1.科目の細分化

減価償却費、減損損失、固定資産除却損、 売却損、売却益といったPL科目について、
増減明細を意識して、資産別に設定します。  

減価償却費で1本しか科目設定がないと、
あとで資産別に分けるのが 非常に苦しくなります。  

BS科目では、減損損失累計額(資産別)を設定した方が良いです。
過去にどの資産をいくら減損したかは、
意外とわからなくなるので、直接減額するよりもおすすめです。  

リース資産は、建物等の基本科目 に含めず、
資産別にリース資産を科目設定した方が便利です。  

2.使用する科目の教育

上で設定した科目に、固定資産の増減以外の取引を
入れないように注意する必要があります。  

除却損に撤去費用を入れない、
売却損益に手数料を入れないようにします。  

一方で、固定資産の増減については、
可能な限り専用の科目を使用すると良いです。  

過去の固定資産の金額が誤っていて修正するときも、
雑損失、雑収入 を使用しない、
使用した場合には その金額がわかるようにしておきます。  

そうすることで、 固定資産台帳と試算表の関連性が見えやすくなります。  

3.固定資産台帳の科目と試算表の科目を一致させる

固定資産台帳の金額と試算表の金額の一致の確認は、
経理の基本動作の1つです。  
月次、四半期、年度と 定期的に必ず発生します。

その工数を削減するために両者の科目の一致が望ましいです。  
組み替えなどが入っていると、 それだけでひと手間かかります。  

まとめ

ここまでできれば、 連結ベースの増減明細の注記は、
連結精算表の数字を使用して、あと少しというところまで完成させることができます。  

少し横着ですが、 固定資産の期首残高、期末残高、期中減少(減価償却、減損、除却、売却)
を、連結精算表から直接入力すること ができれば、
取得は差額で算出できます (為替の影響はなしとします)。  

連結ベースの注記を、正攻法で、 固定資産台帳の積み上げで作成すると、
途方もない労力が必要となるので、 くれぐれもご注意ください。  

科目設定の工夫次第で、決算効率化が図れるということについて、
イメージしていただければ幸いです。