IFRIC21号「賦課金」 固定資産税の一括費用処理がしっくりこない

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固定資産税は費用も債務も一括認識

先日、監査法人とのやりとりで、
IFRSにおける固定資産税の取り扱いについて
気になる会計処理がありました。  

固定資産税は、1月1日の固定資産の保有に対して課されるため、
IFRIC21号「賦課金」に従って、
1月1日時点で、一括で債務認識します。  

ここまではわかります。  

IFRIC21号は、貸方(債務)についてのみ規定しているので、
借方(費用)の処理をどうするかで議論になりました。  

日本基準の感覚では、1月に一括で費用計上すると
上期と下期で損益がゆがむため、
前払費用等を計上し、 月次で費用処理していくことになります。  

しかし、IFRSでは月次費用処理は認められず、
費用も一括認識以外は認められないというのが、
多数派の見解とのことでした。  

その根拠は以下のとおりです。  

  • 固定資産税は一定時点における固定資産の保有に起因して生じるため、有形固定資産の取得原価ではない
  • 固定資産税の支払と引き換えに特定の財・サービスを受け取ることはできない
  • 1月1日より後に廃棄しても納税額の返還・支払免除はない
  • 以上を考慮すると将来の経済的便益の流入という資産の定義を満たしていないため、前払費用等の資産として計上することもできない。
  • したがって、固定資産税については、負債計上時に即時費用処理すべき

この根拠の何が腹立たしいかというと、完璧なところです。。。
反論の余地がないように思います。  

しかし、わざわざ難しい理屈をつけて、
損益がゆがむような処理を選択しているように思えてなりません。  

固定資産税一括費用認識のインパクト

業種にもよりますが、固定資産税のインパクトは大きいことが多く、
簡単に億円単位のゆがみになります。  

1年を通してみれば、損益は、ほぼ同じ結果となりますが、
四半期開示をする場合には大きな問題になります。  

製造業で標準原価計算を採用している場合には、
1月に多額の不利差異が発生することになり、原価管理上も問題です。  

なんとか月次で費用処理が認められる
うまい理論構成がないか考えていますが、
今のところアイデアが浮かばない状態です。  

古くからある「費用収益対応の原則」、「期間損益計算の適正化」といった原則が、
今でも会計の最も重要な目的だと思いたいのですが、
時代は変わったようです。。  

IFRSは実務よりも、学者的議論に寄りすぎているのが残念です。  

補足-IFRIC第21号の賦課金の定義

IFRIC21号「賦課金」では、賦課金を、
「法令等に従って政府によって課される経済的便益を有する資源の流出」
と定義しています(IFRIC21.4)。  

IAS12号「法人所得税」の範囲に含まれる法人所得税や、
法律違反などで課される罰金などは、
IFRIC21号の賦課金には該当しないことが示されています(IFRIC21.4(a)(b))。  

上記定義にしたがって、日本の固定資産税は、
賦課金に該当するものと考えられます。