検収基準で売上計上は本当にできるのか(IFRS15号、IAS18号)

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出荷基準と検収基準

IFRS導入時の有名な論点として、
物販の売上計上基準について出荷基準は認められず、
検収基準にしないといけないと言われています。  

検収基準の最大の問題は、
売上の確定が自社で完結できず、
決算が遅延することです。  

つまり、顧客からの検収明細や検収報告といった資料が入手できないと、
売上の最終金額が確認できません。  

検収明細が入手できるまで、1ヶ月近くかかることはざらです。 
顧客から検収明細をもらっていないことも多いです。

その場合、入金されるまで売上が決まらないことになります。  

私の経験上、IFRS適用会社で実際に検収基準で 売上計上できている会社を、
ほとんど見たことがありません。  

会社のルール上はIFRSにしたがって検収基準をうたっておきながら、
堂々と出荷基準で売上計上しています。  

結局、出荷済みだが、未検収となっている売上の金額は重要でない、
だから出荷基準で問題ないと理屈付けることになります。    

登録日基準と納車日基準

同様に有名な論点で、 自動車のディーラの売上計上基準について
登録日基準は認められず、 納車日基準にしないといけない
と言われています。  

主に以下の理由で、登録したけど納車していない車は 期末日時点で必ず発生します。  
・決算月のため、末日ぎりぎりまでセールスしている
・ゲンを担ぎで大安でないと納車してほしくない顧客がいる
・顧客が取りにこない、または家にいない  

納車日基準を導入する際に問題になりやすいのは、
納車日を確認する仕組み(システム上、内部統制上)がないというケースです。  

次に、納車する準備が整っているのに、顧客が受け取ってくれない。
顧客都合で売上計上できないことに、抵抗があるというものです。

あまり合理的な理由ではないですが、
会社努力が売上に反映されないので、そう思う気持ちもわかります。

こちらも、私の経験上、IFRS適用会社で納車日基準ができている
会社をほとんど見たことがありません。  

会社のルール上はIFRSにしたがって納車基準、
だけど期末の登録済み未納車に重要性がないから
登録日基準で売上計上しています。    

まとめ

検収されるまで、または納車されるまで、履行義務を果たしていない、
だから売上計上できないというのは、もっともな理屈だと思います。  

理屈はわかりますが、ほとんどの人が守れないルールなら見直すか、
そもそもいらないのではと思ってしまいます。  

その点、日本基準のように売上計上を実現主義とざっくり定義し、
実務慣行をふまえて売上計上基準を決定する方が、合理的で好きです。  

現在のように経済環境や事業内容が複雑化し、「実現主義による収益認識」というだけで、財務諸表利用者が正しい意思決定を行うに足る十分な情報提供がなされているかという点については、はなはだ疑問である。

みたいなかっこいい意見もありますが、実務担当者には全く響かないと思います。  

現行のIAS18号「収益」と置き換わり、
2017年1月1日以降開始する事業年度から適用される
IFRS15号「顧客との契約から生じる収益」は、
ものすごく難しい基準です。  

しかし、結局は大多数の会社が
「検討の結果、重要でないから今までどおりに売上計上する」
になると予想しています。