最短距離のIFRS導入方法

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いまの会計処理を何ひとつ変えず、 IFRSを適用していることにしたい  

これは実際にクライアントの口から出た言葉です。

任意適用会社が増え続ける今の時代に逆行するようですが、
日本基準が好きな私はたいへん共感しました。  

ほとんどの会社が、限られたお金、時間、人員の中で
IFRSを導入する必要があります。

したがって、日本基準とIFRSのGAAP差異の調整仕訳を
少なくしたいと思うのは当然のことです。

実際にGAAP差異はかなり少なくなってきていると思います。  

しかし、監査人がウンというはずもありません。

重要性の考え方で会計処理を変えない選択した場合、
重要性がないことを毎期証明することが要求されます。
いっそ仕訳を入れたほうが早いこともあります。  

IFRSの導入にはとてつもない工数が必要となります。

GAAP差異の調整仕訳1つをとっても、
何が最適な答えなのかは、やってみないとわかりません。  

最短距離でIFRSを導入するためにフォーカスすべきこと

・ IFRS導入には、戦略・組織・プロセス・システムの変更が必須である。
・ IFRSにより会計基準が統一化され、子会社の一元管理が可能になる。
・ 業務改善・決算早期化のきっかけになる。  

このような営業トークを聞くことがあると思いますが、
私は、IFRS導入はあくまで制度対応と割り切っています。  

最短距離での導入を目指すならば、何も欲張らず、
IFRS財務諸表を作成するという結果のみにフォーカスすべきです。  

最短距離のIFRS導入プロジェクトの進め方

計画フェーズを短くし、
できるだけ早くIFRS財務諸表の作成に取り組む。
即行動することが基本方針です。  

1.ロードマップの策定

最終期日とそこまでの中間目標を決めれば、残りは粗いもので十分です。

詳細なロードマップを作成したところで、
そのとおりに進むことはあり得ません。

締め切りを決めることがもっとも重要です。

特に、IFRSは強制適用ではないため、
締め切りがないと、終わりがなくなります。  

2.GAAP差異の分析

監査法人やコンサルティング会社で、
最もノウハウとして蓄積さているところです。

テンプレートに当てはめれば概ね完了します。
そのため、時間をかけ過ぎないようにします。

差異の分析・理解よりも、それをどうやって実務に落とし込むか、
こちらの方がずっと重要です。  

3.会計方針、開示方針の仮決定

あくまで仮決定です。
またここに戻ってくることを想定してください。

詳細なマニュアルをこの段階で作成してはいけません。  

見落としがちですが、
開示方針は会計方針よりも慎重になった方がいいです。

開示を意識した勘定科目または補助科目の設定をしておかないと、
IFRSの連結精算表は作成できたが、
明細がわからず注記がつくれないという事態も起こりえます。  

4.トライアルでIFRS財務諸表を作成

本当に時間がなければいきなり本番期で作成します。
この工程が最もたいへんで、時間をかけるべきところです。  

IFRS財務諸表を作成する前に、
業務プロセスおよびシステムへの影響を詳細調査すべきと言うコンサルタントもいますが、
私はおすすめしません。

まずは現状の仕組みでどこまでできるか、
実際に仕訳の起票までトライしてみるべきです。

何も変更しなくても対応できたというケースの方が多いはずです。  

監査人に対しては、作ったものを見せて回答をもらうようにします。
何も用意していない、または根拠づくりを監査人に任せてしまうと、
時間だけが過ぎることになります。  

実務への落とし込みや、監査人とのやり取りなどの過程で、
必ず手戻りは発生します。

その場合は、会計方針の仮決めまで戻ります。  

うまく行かないのはあたり前です。
試行錯誤を繰り返すことで、完成に近づけます。

計画フェーズに時間をかけ過ぎて、
問題の発見が遅れることが最大のリスクだと考えています。  

5.会計マニュアルおよび業務マニュアルの作成

完成したIFRS財務諸表にもとづき、
会計方針および作業工程をマニュアルに落とし込みます。

これは最後にやるべきことです。  

以上が基本方針です。  

こんな単純なものでないことはよく理解しています。
会社の環境、ビジネス、規模によって全く異なることも事実です。
めちゃくちゃ時間がかかるのも認めます。

しかし、会計方針の作成だけに1年以上を費やし、
いつまでもIFRS財務諸表ができてこない会社も存在します。  

IFRS導入を、わざわざ難しく考える人が多すぎると思うのです。  
私は、この方法が最短だと考えています。  

IFRSは原則主義

詳細なルールを持たず、原則のみ示して、
適用方法は実務判断に委ねるという考え方です。
(そのわりに難しいルールが多すぎると思うのですが。。。)  

日本基準が当社の原則である。したがって、GAAP差異はない。  

現実的には不可能ですが、
私は日本基準びいきなので、これが理想です。

GAAP調整仕訳を少しでも減らし、最短距離でのIFRS導入を目指したい。

そんな会社様のために、本気でお役に立ちたいと考えております。