決算書で注目すべき段階利益は何か

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以前、決算書で最も重要なのは、
「利益の推移」だ
という記事を書きました。

でもって、その記事に対して、
「利益にもいろいろあるが、どの段階の利益を見るべきでしょうか。」
というコメントがありました。

段階損益については、
IFRSの影響が無視できないと思ったので、
書こうか迷ったあげく、
冗長になりそうだったので省略してしまいました。

なので、今回、簡単に解説します。

日本基準の段階損益

日本基準では、段階損益を以下のように区分し、
全ての会社で同じように表示します。

  • 売上総利益
  • 営業利益
  • 経常利益
  • 税引前当期純利益
  • 当期純利益(税引き後)

日本基準に従ったPLであれば、
「経常利益」と答える人が多かったと思います。
私もずっとそう思っていました。

しかしながら、
IFRSでは経常利益が表示されません。

でもって、現在、
日本を代表するような大企業を中心として
IFRS適用の流れが進んでいます。

なので、今後、
経常利益は時代遅れになる可能性が高い
と、思っています。

もしくは、すでに時代遅れかもしれません。

IFRSの段階損益の考え方

大きく2つのポイントがあります。

まず、IFRSでは段階損益について特に何も規定していません。

(IAS1.85) 企業は、企業の財務業績の理解に関連性がある場合には、追加的な表示科項目、見出し及び小計を、純損益及びその他の包括利益を表示する計算書に表示しなければならない。

次に、特別損益の表示は禁止されています。

(IAS.87) 企業は、収益又は費用のいかなる項目も、純損益及びその他の包括利益を表示する計算書又は注記において、異常項目として表示してはならない。

災害などがあっても、禁止です。

特別損益がないことが、
日本基準でいうところの
「経常利益」が存在しない理由です。

段階損益の表示が、PLにおける
IFRSと日本基準の最も大きな違いだと思います。

IFRSのPL開示事例

売上総利益、営業利益を開示せず、
収益から費用を引いて、
いきなり税引前利益を表示する会社があります。

また、ダイムラーのように、営業利益の代わりに、
EBIT(支払利息・税金控除前利益)を
表示している会社も存在します。

では、どの段階の利益を見るべきか

他社と比較できることを考えれば、
ほとんど全ての会社で開示するであろう、
「税引前利益」がいいのではないでしょうか。

税金については、企業の努力だけでは
どうにもできないことが多いので、
やはり、税引後利益よりも
税引前利益がおすすめになります。

なお、税引前利益を表示しない会社も
存在するので、ご注意ください。

IFRSの比較可能性について

IFRSを採用する理由として、
「他国企業との比較可能性が確保される」
というものがあります。

しかし、PLに関しては、
段階損益の表示が会社毎に異なるので、
比較が難しくなっています。

利益を計算するための根っこになる
会計基準はたしかに統一されています。

しかし、利益の比較が最も有効だと思うので、
同じ会計基準内での比較が難しいのは、
なんとかして欲しいものです。