固定資産未実現利益を消去するための2つの方法

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Consolidate / lendingmemo

連結財務諸表を作成するための連結消去仕訳のうち、
固定資産未実現利益の消去仕訳は、
もっとも管理工数のかかる仕訳の1つです。  

固定資産未実現利益の消去を厳密に
やろうとし過ぎたために、かえって管理しきれなくなり、
仕訳を間違えるケースを多く見てきました。  

そこで今回は、固定資産未実現利益の消去仕訳を
どのように管理すべきかについて整理しました。  

固定資産未実現利益消去仕訳のイメージ

連結グループ内のA社からB社へ
簿価150円の固定資産を200円で売却し、
売却益が50円発生したとします。  

売却自体がなかったようにするために、
A社の売却時の簿価とB社の簿価との差額で
連結消去仕訳を起票します。  

下表のプラスは借方、マイナスは貸方で、税効果は無視しています。  

勘定科目 A (売手) B (買手) 差額
(連結仕訳)
建物 300 200 100
償却累計 △ 150   △ 150
売却益     50

売却取引の消去後は、
償却スケジュールにしたがって 減価償却費を調整します。  

勘定科目 A (売手) B (買手) 差額
(連結仕訳)
減価償却 30 40 △10
償却累計 △ 30 △40  10

仕訳起票のためにどのようにバックデータを管理するか

以下の2つの方法が考えられます。  
① 固定資産を売却していないと仮定した固定資産台帳を作成し、
現在の固定資産台帳と洗い替えする方法  

② 固定資産の売却損益だけを把握し、
資産の償却スケジュールに合わせて減価償却費を調整していく方法  

どちらの方法が良いか、  
①の方が厳密な方法ですが、固定資産台帳が倍増する
という管理工数上のデメリットがあります。  

日本基準だけの連結財務諸表を作成している場合は、
固定資産台帳が倍になっても対応できます。

しかし、将来のことまで考えると必要以上に
固定資産台帳は増やすべきはありません。  

たとえば、①の方法を採用している会社がIFRSを導入しようとした場合、
以下の4つの固定資産台帳が登場することになります。

  • 日本基準の固定資産台帳(単体用)
  • 日本基準の固定資産を売却していないと仮定した固定資産台帳(連結用)
  • IFRSの固定資産台帳(単体用)
  • IFRSの固定資産を売却していないと仮定した固定資産台帳(連結用)

管理が煩雑で、仕訳自体も間違えやすくなります。  

一方で、②の方法のデメリットは
固定資産台帳への 登録科目、登録単位、耐用年数などが異なる場合に
正確な対応ができないことです。  

A社からB社に建物を売却した場合を考えます。

A社では建物100で固定資産計上していました。
しかし、B社は建物60、建物附属設備40で 固定資産計上していました。
耐用年数も異なります。  

この場合、A社の売却益だけの把握だけでは足りず、
B社の固定資産台帳の内容を正確に捉えないと
仕訳を間違えることになります。
(そもそも、そうならないように子会社などを指導すべきですが。)  

さらに、②の方法だと、償却が終わった資産が
簿価ゼロの状態(建物100、償却累計額△100)で
残りやすい傾向にあります。  

いったん償却スケジュールを組めば終わりのため、
フォローアップを忘れがちになるためです。  

それでも、私は②をおすすめします。  

②の方法の最大のメリットは自動化し易いことです。
取引発生時に売却損益と償却スケジュールを適切に入力すれば、
それ以降は償却を自動で回すことができます。  

償却が終わった資産については、
わりきって、償却が終わったタイミングで除却の仕訳が 自動で起票されるように設定します。  

簿価はすでにゼロのため損益には影響がないため、
わざわざ真面目に実際に捨てたタイミングまで待って、
起票する必要はないと思います。  

償却中の資産が除却された場合でも、
金額が重要なものだけ、
除却の事実を把握できれば十分ではないでしょうか。  

重要性のない連結仕訳は起票しない

  連結財務諸表は、

  • だいたいあっていそう
  • あっていそうな雰囲気が出ている

がゴールだと思っています。  

個別財務諸表でも同じですが、
連結は特にその傾向が強いと思っています。  

たとえば、何百社も連結する場合、
全ての取引に正しい仕訳を入れることは不可能です。  

だからこそ、重要性のない仕訳は入れない。  

これを徹底すべきです。