超過税率がある場合の法定実効税率の計算方法

東京都における法人事業税、超過税率
の改正条例が 2015年7月1日に公布されました。
超過税率は、資本金の額又は出資金の額が
1億円を超える普通法人(外形標準課税法人)が対象です。
平成27年4月1日以後開始する事業年度
平成28年4月1日以後開始する事業年度
この2段階で法人事業税所得割の税率を引き下げ、
付加価値割及び資本割の税率を引き上げます。
この改正により、繰延税金資産の計算に
使用する法定実効税率が変わります。
超過税率がある場合、
法定実効税率の計算が少々複雑になります。
そこで今回は、法定実効税率の計算方法について解説します。
法定実効税率を計算するときに登場する税金の種類と税率
東京都の場合
平成27年4月1日以後開始する事業年度 | 平成28年4月1日以後開始する事業年度 | |
法人税 | 23.9% | 23.9% |
住民税 | 16.3% | 16.3% |
地方法人税 | 4.4% | 4.4% |
事業税(超過) | 3.4% | 2.14% |
事業税(標準) | 3.1% | 1.9% |
地方法人特別税 | 93.5% | 152.6% |
法定実効税率の計算
実効税率を計算する際、事業税の損金算入の影響を考慮した上で
法人税、住民税および事業税の税率を合計します。
これを計算式で示すと以下のとおりです。
この計算式にあてはめる税率は
それぞれ以下のように計算します。
計算例は、平成27年4月1日以後開始する事業年度の税率を使用しています。
- 法人税率
法人税率(23.9%)をそのまま使用します。
- 住民税率
住民税率(16.3%)と地方法人税率(4.4%) の合計(20.7%)を使用します。
どちらも課税標準を法人税額にする点で 共通しており、
計算式は法人税率×住民税率で表されます。
- 事業税率
少しだけ面倒です。
地方法人特別税は、課税標準を事業税所得割額としています。
ここで注意が必要なのが、使用する税率が超過税率でなく、
標準税率である点です。
標準税率(3.1%)と地方法人特別税率(93.5%)を乗じます(2.9%)。
事業税の超過税率(3.4%)に上の地方法人特別税(2.9%)
を加えた6.3%が使用すべき事業税率になります。
以上の税率を計算式に当てはめると 以下のとおり、
実効税率が計算されます。
念のため補足
実効税率は会計上の利益に掛ける
ことを前提に作られています。
実効税率の計算式の分母(1+事業税率)は
事業税の損金算入を意味しています。
課税所得にかける場合は表面税率を使用します。
表面税率は計算式の分母(1+事業税率)を 取り除けばOKです。
課税所得に実効税率を掛けると、
事業税の減算が2重に加味されてしまうため、
正しい税額が算出されません。
そんなの当然だと思われる方も多いと思いますが、
意外と勘違いし易いところなので補足です。
以上、ご参考になれば幸いです。
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