公認会計士だから何でも知っている

会計士になって間もないころ、
「クライアントは、会計士は何でも知っていると思っている。
だから、知らないことがあっても知っているフリをしろ。」
と先輩会計士に言われたことがあります。
でもって、私のいた監査法人は、
プロフェッショナルという言葉が大好きでした。
全体ミーティングやクライアントへのプレゼンなどでは、
- 卓越したプロフェッショナル
- 比肩なきプロフェッショナルサービス
という自分では思いつきもしない立派な形容詞が並んでいました。
本来の意図とは違うはずですが、
- プロなのだから、知らないことは恥ずかしい
- 知らないことを認めたら自分の評価が下がる
という雰囲気があったように思います。
実際に、私も
知らないことは恥ずかしいことだ
と思っていた時期がありました。
会社の人と話していて、自分の知らない話題になったときは、
適当な相づちで切り抜ける。
切り抜けたあとに必死に調べる。
ということをしていました。
知らないことは素直に認めた方が得をする
どんなに”卓越したプロフェッショナル”でも、
会計士の資格を持って提供できるサービスの全てを
網羅することはできません。
会計監査だけをとっても、
永遠に極めることができないと思えるぐらい奥深いものです。
そこで、程度の問題はありますが、
知らないことは素直に認めた方が得をすると気付きました。
まず、知っているフリで切り抜けることに慣れてしまうと、
適当にその場を終わらせるという悪い癖がついてしまいます。
その後の努力がいい加減になり、
私自身、猛烈に反省したことがあります。
次に、知らない場合は知らないことを素直に認め、
「教えてください」と言った方が、
クライアントに好感を持たれることが多いです。
頼られて悪い気がする人はいません。
「知らないの?しょうがないな~。」
という感じで親切に教えてもらえます。
自分で調べれば1時間のところ、
聞けば5分で済むこともあります。
質問であれば、知らないと言ったところで、
あとで、きちんと調べて適切な回答をすれば、
即答できないことに問題はありません。
知っているフリは、プライドだけが高くなってしまい、
自分の実力のなさを受け入れることがなくなって
その後の努力をしなくなります。
知っているという演出だけで、自分をプロに見せたところで、
実際には何も得られることがないので、注意が必要です。