監査人が好かれるための努力

監査人は、厳しいとか、
近寄りがたいといった印象を
持たれている方も多いと思います。
監査人が従うべき監査基準の中でも、
監査人は、監査を行うに当たって、常に公正不偏の態度を保持し、独立の立場を損なう利害や独立の立場に疑いを招く外観を有してはならない。
とガチガチに規定されています。
確かに、監査をする以上、
監査を受ける人と一定の距離を置き、
時には厳しいことを言うことも
大切と思います。
しかし、実際には、
監査人ほど好かれるための努力が
必要な職業はありません。
社内で働く内部監査人も同じです。
嫌われては監査が進まない
監査人はデフォルトの状態で
嫌われています。
「あら探しをされる」と
監査を受ける人は身構えます。
それにもかかわらず、
好かれるための努力をせずに
嫌われたままでいると
監査が思うように進まなくなります。
人間は、自分の好きな人の言うことしか
聞かないからです。
例外的に嫌いな人の言うこと聞くのは、
国税調査官のように強力な権限を
持っている場合のみです。
監査人には、強力な権限がないので、
監査対応が後回しになります。
- 質問に答えてもらえない
- 本当のところを教えてもらえない
- 資料が出てこない
といった問題が考えられます。
内部監査人は、特に権限が弱いことがあるので
さらに注意が必要です。
監査の質は、監査を受ける人と
良好な関係が築けているかどうか
にかかっていると言えます。
好かれるためにすべきこと
監査を受ける人から嫌われ、
相手を動かすのが下手な人は、
- これをやってください
- 監査だからこうすべきだ
と一方的に伝えます。
それに対して、
相手を動かすのが上手い人は、
監査を受けるメリットを
明確に伝えています。
- 決算が効率化できる
- 数字の精度が上がる
- 管理が楽になる
といった感じです。
内部監査であれば、
監査を受ける人が日頃抱えている悩み
を聞いて、経営陣にフィードバックする
といった方法も効果的です。
特にメリットがない場合も考えられます。
そのような場合は、
なぜその監査手続が必要なのかを
繰り返し丁寧に説明します。
監査で相手に動いてもらうためには
メリットまたは必要性を
伝えることがとても重要です。
そのひと手間を惜しむと、
かえって監査に時間がかかることに
なるので、くれぐれもご注意ください。