会計監査が必要な会社とその強制力

会計監査人の監査が義務付けられる会社は以下のとおりです。
- 大会社(会社法328条1項、2項)
- 委員会設置会社(会社法32条5項)
- 会計監査人の任意設置を行った会社(会社法326条2項)
大会社は、会社法2条で定義されています。
定時株主総会で承認又は報告された 貸借対照表において、
資本金5億円以上、または負債額200億円以上
を計上した会社が該当します。
いつから監査が必要になるのか
X年3月期において資本金5億円以上または負債合計が200億円以上となった場合、
X年6月の定時株主総会で会計監査人を選任し、
X+1年3月期から監査が始まります。
期の途中で、増資して資本金5億円以上となったとしても
期末までに減資して5億円未満とした場合には、監査は不要です。
負債も同様で、期末時点で200億円以上でなければ、監査は不要です。
いつから監査が不要になるのか
X年3月期において資本金5億円未満または負債合計が200億円未満となった場合、
X年6月の定時株主総会で 大会社ではなくなり、X+1年3月期から監査が不要となります。
会計監査の強制力
会計監査人の選任を懈怠した場合には、100万円以下の過料が科されます。(会社法976条22号)
監査報酬が数百万円以上 かかることを考慮すると、
過料が少額のため会計監査人を選任せず、 監査を回避している会社が多い
と、言われています。
銀行借入で会計監査人の監査証明が要求されている場合、
上場会社の子会社である場合を除き、
会計監査の強制力はほとんどなく、
経営者のコンプライアンス意識に依存しているのが現状です。
会計監査人の選任は登記事項とはいえ、
取引先などが気づき、 信用をなくすことも少ないと思います。
バレなければよいという考えは 間違いですが。。
会計監査への抵抗感
金銭面以外にも、会計監査への抵抗感は非常に強いと思います。
- 監査という言葉のイメージが悪い。
→ そのとおりだと思います。
- 自分の仕事を見られるのが嫌だ。アラさがしされたくない
→ 私も同じです。しかし、自分では 気づけないことに気付くチャンスでもあります。
監査人はお手本になるような会社も多く見ているので、
そういう会社との比較で改善提案することができます。
- 怖い人がくるのではないか。
→ 初めて監査に行くと、たいてい構えられます。
しかし、監査が終わると、 「こんなに優しい人が来るとは思わなかった」
といわれることがほとんどです。
監査を受けたくない気持ちは すごくよくわかります。
自分が経営者でも必要がなければ、わざわざ受けたりはしないでしょう。
抵抗感を少なくするために
会計監査人は公認会計士の資格を持った人
であれば、監査法人でなくても問題ありません。
監査報告書にブランドを求めないのであれば
個人事務所という選択肢もありだと思います。
個人事務所であれば監査担当者が固定され、
コミュニケーションも取りやすくなるため
ある程度、抵抗感を少なくして
監査を受けることができるのではないでしょうか。