
フォルクスワーゲンと東芝には共通点があります。
どちらも、コーポレートガバナンスでは優等生と思われていたこと。
そして、不正が発生した原因を、独裁経営、上意下達、上に逆らえない企業風土にあると言われていることです。
コーポレートガバナンスの目的には、
「経営者の監視」が含まれています。
しかしながら、経営者に逆らえる会社が存在するとは思えず、
逆らえないのは当たり前と受け入れるしかないように思います。
経営者に逆らえないのであれば、コーポレートガバナンスは、
結局は経営者の資質が全てと言えます。
京セラの稲盛和夫名誉会長のエッセイで、
コーポレートガバナンスに関係する次の言葉がありました。
- 私は、経営において、常に「人間として何が正しいのか」ということを判断基準にしてきました。
- 正義、公平、公正、勇気、博愛、努力、謙虚、誠実など、人間としての基本的な倫理観、道徳観に基づく、普遍的な価値観を経営においても貫いてきました。
- 人間としての普遍的な価値観に基づく企業統治が行われてはじめて、コーポレートガバナンスの仕組みや制度も生かされるのではないかと考えています。
このようにシンプルに捉えると、コーポレートガバナンスは、
「言われたからやる」「ルールだからやる」といったものではないはずです。
なので、今年の6月から適用されている
東証のコーポレートガバナンス・コードに対して、
コンサルティング会社が、
- 日本企業では、やったふりの対応になっている
- 外部のコンサルティング会社を使ってガバナンス改革をすべき
とか言うのに、違和感を覚えるわけです。
取締役会の議論が活発になることが、ガバナンス改革なのではなく、
優れた経営者の存在こそが何よりのガバナンス改革だと思います。
でもって、悩ましいのが、優れた経営者かどうかを
外部から客観的に測る指標は、売上や利益以外には存在しないことです。
利益に貢献しないコーポレートガバナンス・コード対応が、
形式的なものになったとしても、当然のことではないでしょうか。