新日本監査法人の処分について思ったこと

新日本監査法人の処分が決まりました。
- 契約の新規締結に関する業務の停止3か月
- 業務改善命令
- 課徴金21億円
とても重たい内容です。
金融庁の指摘は、
本当にどこでもよく聞くような話ばかりです。
たとえば、
- 異常値を認識していたが、東芝の回答を監査調書に記載するだけで手続を終えていた。
異常値の認識までは、誰でも簡単にできます。
時間がない中で、そこから不正だと断定できるまで掘り下げて監査することが、
とにかく難しいのです。
- 監査チーム内で情報共有されていなかった
めちゃくちゃよくある話です。
100人を越える規模の監査チームで情報共有を徹底することは、
まあ困難ではないでしょうか。
- 工事進行基準の監査では、東芝の説明を鵜呑みしていた。
鵜呑みにしていた訳ではないと思います。
ただ単に、他に信頼できるような情報がないだけで。
どちらかと言えば、会計基準に無理があるかと。。
などなど、いくらでも同情できてしまいます。
しかし、そんな甘いことも言っていられないような厳しい記事が、
12月23日の日経新聞にありました。
「だまされた」は通用せず、「見抜けなかった」ら責任を問われるようになったのは大きな変化だ。会計監査に詳しい青山学院大学の八田進二教授も「東芝問題は監査制度を変えるターニングポイントになる」と話す。
さらっと書かれていましたが、これはかなり恐ろしいコメントです。
そもそも、不正を見つけることが難しいのは、
金融庁が公表する「不正リスク対応基準」にも書いてあります。
不正は他者を欺く行為を伴う意図的な行為であるために、監査人にとって、不正による重要な虚偽の表示を発見できない可能性は、誤謬による重要な虚偽の表示を発見できない可能性よりも高くなる。また、経営者により不正が行われる場合には、内部統制が無効化される場合が多いので、監査人が経営者不正による重要な虚偽の表示を発見できない可能性は、従業員不正による場合よりも高い。
なので、金融庁が「不正は見つけるのは難しい」ことを知った上で、
重たい処分を課しているということは、
まさに、「見抜けなかったら処分」ということなのだと思います。
酷すぎやしませんかね。。
でもって、新日本監査法人の対応
- トップの退任
- 執行役員の報酬減額
- 東芝担当の業務執行社員6名が退職など
そして、次年度の東芝の監査契約を辞退するようです。
どこが監査をするのか気になるところですが、
これだけの不正をしても、東芝クラスの会社であれば
監査をしたい人は山ほどいるはずです。
それもおかしな話ですが。