先行開示事例から学び取るIFRS導入プロジェクトの実務

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
Dictionary / greeblie

IFRS導入プロジェクトを進めるにあたり、おすすめ本をご紹介します。

この本では、ゴールを「IFRSに基づく有価証券報告の作成」とし、
「ゴール逆算方式」でプロジェクトを進めることを提唱しています。

先行開示事例から学び取る IFRS導入プロジェクトの実務
 

どんな人におすすめの本か

IFRSの理念とか概要とか基準の解説はもうわかった。  

で、実務はどうなの?   という人におすすめの本です。

実務上のポイントというのは、
具体的に書けば書くほど批判を受けやすくなります。

たとえば、本書が提唱する「ゴール逆算方式」は、
理想的なプロジェクトの進め方と思うのですが、
それゆえに、「積み上げ方式」で進めている人の自己重要感を傷つけ、

  • そのやり方は間違っている
  • それがうまくいくのは一部の会社だけだ
  • 自分のクライアントは違う

といった批判を招く可能性があります。  

そのため、批判されないための情報発信になりがちです。
大きな会社の看板で本を出す場合はなおさらです。  

実務本といいながらも一般論や基準の解説に終始する本が多いのは、
それが理由だと思っています。  

つまり、よほどの自信がない限り、
批判を恐れて実務を書くことはできないと思うのです。  

だからこそ、私は、実務を詳細に語るこの本をおすすめします。

この本のキモ

第1部と第2部で独立した内容のため、
この本のキモとなりそうな部分を2つご紹介します。  

第1部 先行開示事例にみるIFRS開示の特徴
第6章 IFRS導入に向けて想定される課題(141ページ~146ページ)

投資家に対して「何を」開示するかという問題は、経理部の開示担当者の一存で決定できるものではありません。経営者が決定すべき問題であり、取締役会の議題にあがるくらい重要な意思決定となるケースもあります。

これは私も見落としがちな点でした。  
特に、会社が大きいほど要注意です。  

幸いにも私がIFRS導入をサポートした会社は、
そこまで大きな会社ではなかったので、 たいした問題は発生しませんでした。  

しかし、大企業の意思決定プロセスの複雑さを考えると
あっさりいくケースの方が稀だと思います。  

会計士は会社の意思決定プロセスへの配慮を忘れがちです。
開示の監査では「修正してください」の一言で終わるケースの方が圧倒的に多いためです。  

「ゴール逆算方式」という言葉だけで、わかった気になると危ないです。  

意思決定以外にも、開示のフェーズで大炎上しないために、
必ず押さえるべきポイントを理解することができます。  

第2部 IFRS導入プロジェクトの進め方
第10章 1.グループ会計方針の仮決定および理論武装
2.監査法人との協議およびグループ会計方針の決定(223ページ~230ページ)

IFRS導入プロジェクトが財務戦略的な要素を有する反面、実務上の作業負担やコスト負担を少しでも軽減するためには、なるべく現行基準を継続すべきであり、そのためにはしっかりとした理論武装を行う必要があるのです。

理論武装は、プロジェクトを進める上で一番危ないポイントだと思っています。  

GAAP差異の分析まではあっさりいくのに、
その後1年以上も理論武装している プロジェクトが実際に存在します。  

時間をかけ過ぎるのは論外ですが、
監査法人に対して簡単に妥協するのもダメです。

監査法人は超保守的なので、
重要性のないGAAP調整仕訳も全て起票することになり、
後々まで後悔することになります。  

理論武装の具体的な進め方を理解することができ、
その結果、IFRS導入プロジェクトの進捗に大きな違いをもたらすことができます。  

先行開示事例から学び取る IFRS導入プロジェクトの実務